鹿やイノシシ、なぜ増える??3 [あ~~、何てことを]
鹿とイノシシについての3回目です。
人も動物も元気でいるためには、塩分や筋肉を動かすためのカルシウムなどのミネラルが必要です。
柵に囲われた家畜には、人がこれらを与えます。
野生動物の場合、海に近い所に住んでいれば問題はありませんが、人里離れた山奥に住む動物には大問題です。
しかしそんな動物たちは、塩分やミネラルが多く含まれる土や水がある塩場(なめ場とも)と呼ばれる場所を知っていて、そこに時々行って必要なミネラルを補給するようです。
しかし塩場はそれほど多くなく、特に冬場で塩場が雪に埋もれると、掘る力が弱い子供などはミネラルの補給がままならくなりますので、元気に活動が出来なくなります。
数少ない冬でも使える塩場があれば、そこから離れることができずに行動範囲は狭まることになり、その付近のエサを食べつくすと、今度は空腹のため餓死してしまうことになります。
ひょっとしてこのミネラルの補給量は、オオカミの襲撃や人による狩りなどより、鹿やイノシシの数や生息地域を制限する大きな要素だったのかもしれませんね。
しかしこのことを逆から見れば、塩やミネラルがGETできれば、野生動物(特に子供)は冬を元気に生き残れるということですね?
「元気があれば、何でもできる!」と言う通り、塩とミネラルがあれば鹿は木の皮をむしったり、雪の上に乗ったりして木の葉を食べ、イノシシは急斜面の木の根を掘り返してミミズや虫、時には木の根そのものを食べたりして冬を越すことができるでしょう。
では今年のような大雪にあって、動物(特に子供)はどうのように塩を手に入れたのでしょうか?
答えは「融雪剤」なのではないかと思うんです
雪が多く降る地域では、全国的に冬に毎年融雪剤を道路に撒きます。
そしてその融雪剤の中でも塩化ナトリウムは、気温が-21度までなら、塩化カルシウムや塩化マグネシウムに負けない融雪能力を持ち、保存も簡単で、値段も格段に安く、安全に取り扱いもしやすいというたくさんの利点があります。
そのため現在融雪剤の75%はなんと塩化ナトリウム、つまり「塩」そのものなのです。
人が撒いた塩やカルシウム、マグネシウムは雪が嘗めごろに薄めてくれますし、塩辛ければ雪を嘗めれば良い。人が除雪をしてくれた道路は、雪深い山の尾根や谷を渡るより段違いに早く安全に移動できます(車に撥ねられる危険はありますが・・)。
このようにして鹿もイノシシも競争相手が居ないユートピアを目指し、元気よく各地に広がって行ったのではないでしょうか。
「何らかの理由で、エサが豊富になったため鹿やイノシシが増えすぎ、人里近くや今まで居なかった能登方面にも押し出されてきた」
というより
「冬に撒かれる塩分を求めて、鹿やイノシシが道路に出てきた。塩を嘗めながら動物たちは除雪された道路づたいに拡散して、人が少なくなった新しい山に住み着いた。そこには放置された林など、エサは豊富にあったため順調に数を増やした。その地域の塩場が貧弱でも、冬場の塩分が道路で確保されるため、人里に近いところに出没するようになる。そのことは人が危険にさらされたり、農作物被害をもたらすが、同時に比較的人里近くに罠を設置しても捕獲できるようになったため、狩猟頭数は増えた。しかしながら、以前なら冬場に衰弱死した動物が死ななくなったことによる数の増加や、生息地の拡大をを抑えることはできないでいる・・・」
という感じでしょうか。
雪が降る地域の人の安全な移動や物流を、何とか効率よく安価に確保しようと工夫した結果とはいえ、このことが野生動物の数のコントロールを崩してしまうという一面があるとしたら・・・
「あ~~、何てことを・・・」
というより
「も~~、どうすりゃいいの?・・・」
ですね
今回のトピックの確認や参考にした資料は、国土交通省、農林水産省、環境省のHPから誰でも閲覧、ダウンロードできますよ
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