見えないギプスその1 骨折編 [身体のこと]
え〜、今回は感覚的なお話で、少し難しいかもしれません^^;
常日頃、捻挫の患者さんが来られます。足首、膝、手首、肘、手の指。およそ関節のある所は捻挫の原因箇所になります。そもそも捻挫の定義は「関節が外力等により生理的可動域を越えて、その後もとの位置に戻る時に起こす周囲の損傷」を言いますから当たり前ですけど。
そして、「関節の生理的可動域を越えたままの状態」を脱臼と言います。
骨折しちゃうとギプスをするのは、昔から一般的に用いられていて、時々足の骨折でギプスを着けて松葉杖を使う人や、手の骨折で手首を動かないようにギプスで固定したり、三角巾で腕を吊っている人を見ますね。
ギプスをすると患部を動かさないので、折れた骨の両端が近い位置で安定するために、骨がくっ付くために出てくるセメントのようなもの(仮骨と言います)がその隙間を埋め易く、埋めた後に固まりやすいので有利なのです。この仮骨という物は、後々吸収されて消えて本来の骨の組織に置き換えられて行きますが、その時もなるべく少ない方が吸収と置き換えの期間が短かくて済みます。
骨折の仕方によっては手術で金具固定をして、ギプスをしない場合もあります。これは折れてトンでもない方向に骨がズレている時や、重力や体重が掛かったりした場合にギプスをしてもギプスの中でまたズレてしまいそうな時にお医者さんがしてくれます。また何故か骨にはくっ付き難い部分があり、そんな所で折れると、セメントが充分出て硬化するためには時間が掛かるので、その間をずっとギプスをして固定していると一緒に固定する周辺の間接がカチカチになって、骨がくっ付いた後のリハビリに相当な苦痛と期間が掛かるので、そういう場合も手術をした方が良いです。
その判断はお医者さんがしてくれます。手術をして金具固定をすると、早期にリハビリを開始できたり、傷口が塞がるとお風呂にも入れますのでギプスのように患部の皮膚が痒くなりません。夏場にギプスをすると結構中が痒くなって、患者さんは30センチ物差しなんかを隙間から入れて、痒い所をなんとか掻いたりしています^^
ギプスをして仮骨が安定するとギプスの中の患部に痛みはありません。でも、まだ気を抜いてはいけません。一見(見えないけど^^;)元に戻っているようですが強度がまだまだ足りない。やはり時期が来ないと外せません。そういう訳でギプス固定は、手術や入院が必要ないというメリットは大きいですけど、思ったより、特に患者さんからすると痛みが軽くなってから外すまでの期間が長く感じられて、早く外して欲しいとよく言われます。しかし、これは我慢のしどころです。外しても心配要らない強度になっていると思われ、且つなるべく早くギプスを除去するように心掛けています。
そうして我慢の末、晴れてギプスを外します。長い間直接空気に触れていなかった皮膚に風が当たると、とても爽快です。お風呂に入ると驚くほど垢が出ますが、皮膚の角質バリアは弱くなっているので、垢すりは程々にした方が良いです。後で「因幡の白うさぎ」になりますよ
ギブスを外すと例えば足首なら、まるでギプスを足首に付けているように固まっています。無理もありません。何週間かその状態で「固めて」いたのですから。歩き方もギプスを付けていた時とほとんど同じようにビッコを引いて歩きます。まるで「見えないギプス」を付けているようです。
この場合、足首、膝はもちろん固くなって伸び縮が悪くなっていることは誰でも分かる事ですが、脚全体を持ち上げてビッコで歩くために使っていた、太ももの前側の筋肉も結構カチカチで、さらにこの緊張が股関節を固めてしまっていることになかなか気が付きません。足首だけを柔らかくしたり、弱った膝を曲げ伸ばしする太ももの筋肉を鍛えるだけではなく、股関節の柔軟性を取り戻してあげないと上手に滑らかに歩くことは出来ません。
僕はこのことを知っているので、ギプスを付けている時から股関節の柔軟性をキープするように心掛けています。ギプスを付けたままでも、意外と股関節の柔軟性は確保出来るものです。これがギプスを外してから、普通に生活できるまでの期間の短縮に大いに効いてきます。
もし残念にも自分や知り合いが骨折をしてギプスになったら、ギプスをしていない関節をゆるゆるにしておくようにアドバイスしてあげてください。もちろんギプスをして最低限寝ているときの痛みがなくなってからですけどね
脚の指を骨折しました。固定装具を包帯でぐるぐる巻いています。股関節の柔軟性を取り戻す!。参考になりました。ありがとうございます。
by 律子 (2015-08-20 17:40)